誰の心にも黄金があって


観てきました。(2回目…)
良かった…以下、タカムラーな私の感想…思いきりネタバレなので未見のひとは気をつけてね。そして、ぜひ観てください。きっと面白いはず。


郄村作品の映像化、というとまゆをひそめるタカムラーもいるくらい、映像化するとなんだかもやもやすることが多かったのですが…(よくわからない設定になってたり、なぜか主要人物が女性になってたりね…)これは、本当に良かったです。正直びっくりした。はじめに映画化すると知った時、キャストが発表された時、そして映画館に入って映画をみる直前、いやはじまってからも侮っていたのです。しかししかし。面白かった。確かに原作と違うところが多々ある、でもなぜか全体の雰囲気は、黄金を抱いて飛べという作品の勢い、郄村薫さんのデビュー作の荒々しさを画面全体で表していたのです…前評判をきいていた時、私は文庫版ではなくて単行本版でやるんだろうなぁ〜と思っていたのですが、まさかまさかの雑誌掲載版とは…監督に恐れ入りました。作品への思い入れが強いと、観る人には訳が分からなくなりがちだけど(今まさに私のこの文章がそうであるように)、この作品はバランスが絶妙なのかきちんとエンターテイメント作品になっていました。たぶん、原作に思い入れがない人でも楽しいと思う。一回ではわからないかもしれないけど…そしてぜひ原作も読んでほしいなぁ…できれば文庫版よりは単行本版で…まだ雑誌掲載版に近いと思う…私は文庫版を初めて読んだ時にすごいびっくりしたの…全体は変わってないんだけど、ここポイントだろ!ってところが変わっていて…まあそれが郄村作品の醍醐味でもあるのですが。ぜひ。

この作品で一番良い!と思ったのは実は幸田なんです…幸田という人は世の中のことに興味がなくて、仙人みたいなのに妙にアツいという…なんとも不思議な人、だと思うんです。この役ができる人はいるんだろうか…と思っていたのですが。つまぶきくん…本当、初めて良いと思いました…つまぶきくんのまっすぐな感じが、幸田にマッチしている…こだわっているようで何にもこだわりがない、生きることに執着がないのに、目の前のことに真剣に取り組んでたり…でも投げやりだったり…そんでもって愛され幸田さんだったよ…あのとげとげしてるのに隙のある感じが。可愛い人なんです。
北川役のあさのただのぶが気持ち悪くて気持ち悪くて…原作ともまた違う気持ち悪さがクセになるよね…しかし奥さんが美人でびっくり。そんでもって息子さんは幸田のことをめめのおじちゃんとは呼んでなかった…北川が原作だと同い年だけど先輩設定に。だから息子さんもお兄ちゃんって呼んでたのね。
そして野田が役立つキャラに…!めっちゃキャラ立ちしとる…こんなに目立ってたっけ…ミエちゃんは…と思って原作読み返したらちゃんと活躍してた…うむ…しかしイケメンなのに全くイケメンを感じさせない演技はさすがですな…
原作とかなり違うのは春樹!原作だと幸田を押し倒しちゃう感じのリトル北川ってイメージだったけど、リストカッターになってたり、ギャンブラーになってたり。でもこれはこれでいい感じかも。今の時代に合う感じにしたのかなぁ、と。幸田との関係性も良かった。犬系の年下も揃えておいて損はないよね!っていうか…(とことん腐っててすみません…)原作では未成年だけど、きっともう成年してる設定なのかな…?でも少年っぽいというか、大人になりたい、認められたいっていう春樹が良かったです。
ちゃみ様のモモ…モモの役も難しいと思うの。ちゃみ様きれいすぎるし、でかいし、原作とはイメージ全然違う、んだけどこれまだ幸田役のつまぶきくんと一緒で何にもまだ染まってない、クセのない感じがはまってる。スパイだけど、素直、というか。しかしモモコさんはでかすぎて逆に目立つと思うの。正直、この役は別に本物の韓国人でなくても良いと思うの。私の中では風ポンみたいな感じで想像してたし。でも、これをちゃみ様が演じたっていうのはやっぱり意味があることなんだろうなぁ…少なくとも動員面では確実に効果をだしてるし。モモ、というには華がありすぎるんだけど、本当に良かった。原作でも好きな、教会のシーンも良くて。あの朝日の感じとか。
じいちゃん。原作と大きく違うのはじいちゃん。でも味がある…原作だとはっきり関係性がわからないんだけど思いっきり幸田が最後に言うんだよね…びっくりした。しかし、この場面のつまぶきくんがまた良い…じいちゃんも良かったなぁ…本当に原作とは違うんだけどなぁ…不思議だ。
それにしても、こうして好きな作品が映像化されるというのは不思議な感覚ですね。映像、というのはすごく現実味が増す。これまで私の脳内にあった想像が、この映像に塗り替えられていくというか。私はまさにあの中之島で仕事をしていたので、映像にでてくるあちたこちらが懐かしく、あの場所でもあんなことされたら私の仕事にも影響あるなぁ〜と思うと一気に現実味が増して。現実と空想をいったり来たり。そしてこの映画を観ると、真剣にみてるせいなのか、何なのかとにかく疲れる…だが面白いのです…
本当に文章がまとまらない。でもとにかく、ちゃんと郄村作品で、エンターテイメントで、デビュー作の荒々しさまで表現されてるんです…黄金を初めて読んだ時、この作風にすごくびっくりしたんです。同じ場所をボールペンの先でずっとつついて真っ黒にして穴をあけてしまいそうなくらいの執拗さと細かさ、なのに妙に爽快感があって世界が広がっていくような、あの感覚がこの映画にはあるのです…とにかく、観て…!!私はあと2回くらい観たい…
…しかし、純粋なちゃみペンさんとか、原作未読のひとには面白いのかな…?わからん…(私の隣にいたちゃみぺんのお嬢さんは寝てたよ!)どうなんでしょう…?とにかく映画観た人と語り合いたいよ〜〜〜っていうくらい、私ははまっています…