もっと本気で遊びたい

人間失格見てきました。
…私、太宰が好きか嫌いかといわれると…ううむ、微妙。太宰って太宰なんだもん。あの閉塞感というか、どうしようもなさは同じ県民としてちょっとわかるところもあるんだけど、ず〜〜っと暗いままでもなくて妙に明るいときもあるじゃないですか、太宰って。あの振れ幅が私にはまだ恐ろしいの。そんなわけで内容にはあまりふれられないです。ただ、すごく文学的な映画でした。なんかじっとりとしている。太宰の小説とはまた違った雰囲気だけども。(太宰はじっとりって感じではないよね)あと結構津軽弁だった。これって普通の人は聴いてわかるんだろうか…心配。
生田さんについて。生田さんはすごく美しかった。あのはにかみ笑いがね、本当に素敵。本当に駄目男なのにぜんぜん駄目男な気がしない。だって素敵なんだもの。むしろ誠実に感じる。そして葉蔵の居場所がない感じが本当に良くできていた。あれは本当に居場所がないね。あると思ったのになくなっちゃうのが悲しい。
生田さんの何が良かったかというと、津軽弁があんまり違和感がなかったことです。青森県民の私が言うので間違いはないよ。思うに、東北の言葉って発音の形態が日本語とぜんぜん違うの。どれだけ端々を似せても(語尾とかね)、最初の一音ですべてが決まっちゃうのです。大概は違和感があるんだけどね。生田さんの津軽弁は大丈夫だった。同じ北の国の人だからなのかな。なかなかできることではないと思うので、純粋にすごいと思った。ちなみに三田佳子ははじめは違和感があってううむ…と思ったけど段々良くなってて、葉蔵と会ったばかりの時は、東京から来た人に合わせてきちんと話そうとしてて、慣れてくうちにどんどん自分の言葉で話すようになったのかなぁと思った。大女優はすごい。
伊勢谷くんについて。苦みばしったいい男、ですよね。罪に興味のない男ってなかなかできないよ。堀木のいいところも悪いところもいい具合にでている。正直、主人公を食うぐらいの勢いだったと思う。葉蔵ってなんだかんだで受身だもの。葉蔵も堀木も駄目男だけど、堀木はちゃんとしている駄目男なんだよね。ちゃんと先をみてるっていうか。それってたぶん環境なんだろうなぁ。葉蔵はいつも箱庭にいるもの。逃げてる先も全部誰か(平目?)の手の中なの。
森田さんについて。森田さんって存在がファンタジーだと思った。妖精さんだ。人間失格の中で一番可憐でした。中原中也が好きか嫌いかといわれると…ううむ、微妙な私ですが、中也って本当にあんな妖精さんのような人だったのかも。トンネルのシーンは、ぜんぜん変わっちゃうけど宮沢賢治の世界みたいだなぁって思いました。まさにファンタジー。実際は戦争のときを生きた実在の人々なのだけれど。
女優さんたちもすごく素敵でした。豪華。ちなみに私はあの中だったら常子(寺島しのぶ)になりたい。一緒に死ねなくて一人で亡くなっちゃうけどそれでもいい。あんな若くていい男と途中まででも一緒に死ねるなら本望だもんね。うん。
もう一度観るか?といわれたらううむ…だけど(結構重いんだもん)一度観ておくってのは本当におすすめです。生田さんはとにかく美しい。